下記内容は一般的な説明となりますので、具体的に手続きをおこなわれる際は、専門家等に確認のうえ、手続きを行うようにお願いいたします。
会社法上の「役員」 取締役、会計参与、監査役 (329条1項)
「役員等」取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人
同等の地位にあるもの 清算人、業務執行権を有する社員、執行役員
役員の任期
「取締役」「会計参与」選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時総会終結のときまで。定款又は株主総会の決議によって短縮することができる。
「監査役」選任後4年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時総会の終結のときまで。定款又は株主総会の決議によって短縮することはできない。(短縮の但書無し)
任期の伸長
「非公開会社」における取締役、監査役及び会計参与に任期は、定款によって選任後10年以内に終了する最終のものに関する定時総会の終結の時までと伸長することができる。
【家族経営の会社の機関構成】
非公開会社であれば、最もシンプルな機関の構成として、株主総会と取締役1名とすることもできます。
代表者が実質会社の経営を行っていて、他の役員が名目的なメンバーであるようでしたら、機動的な経営の実現として実態にあった機関構成を検討されてもいいと思われます。
但し、検討すべき事項として、
・所有(株主)と経営(取締役等)とが、分離していないか、株主間で対立がないか、将来対立する恐れはないか、事業規模、対外的な信用等が考えられます。
【株主となり経営は他の人に任せる機関構成】
上記家族経営の会社の機関構成とは反対に、会社の業務執行を取締役1名に委ねるとすると、株主の立場からは会社の業務執行に関する情報を入手するなどは容易ではないため、その業務執行の適正を監視監督するために、複数の取締役・取締役会・監査役・会計参与の設置を検討することが考えられます。
【1人で会社設立する機関構成】
出資者は1名でよく、出資者が発起人となり全株式を引受け1人会社を設立する場合は、株主である出資者が取締役となり会社の業務執行をしていくことになるので、シンプルな機関構成のほうが負担が軽く機動的な経営を行うことができます。将来を見越して機関構成をしておくのか、会社の成長に応じて機関構成を変更していくことが考えられます。
【複数名で会社設立をする機関構成】
将来、会社経営をめぐる関係者間の対立をふせぐように機関構成を考える必要があります。会社経営スタート時に特に問題がなかったとしても、誰が出資者か・誰が経営にあたるか・どのように経営に関与するのか等により、株主間、経営者間、株主と経営者間で意見が分かれた時に業務執行に支障が生じることが考えられますので、一例としましては、好ましくない者が株主となることを防ぐために株式の譲渡を制限する非公開会社として、相互の監視監督であれば3名以上の取締役会設置会社とすることも考えられます。
取締役会:業務執行の意思決定及び取締役の職務執行の監督を行う機関です。
代表取締役の選定、解職を行う権限を持ちます。
取締役会の設置が必須:公開会社・監査役会設置会社・委員会設置会社
→非公開会社では任意に設置することができます。
【取締役会を廃止するには】
株主総会の特別決議により取締役会を置く旨の規定を削除する等の定款変更の決議を行うこととなります。
●削除→当会社は取締役会を設置する
●変更→株式を譲渡により取得するには取締役会の承認を要する
●代表取締役に関する規定
代表取締役を定めておく場合は、定款に代表者となる者を定める、又は
取締役の互選又は株主総会の決議によって定める、の方法をとることになります。
等その他取締役会に関する規定を削除又は変更を行います。
【併せて監査役の廃止を検討】
監査役:非公開会社で会計参与を置かない取締役会設置会社では設置が必須
監査役を廃止し、監査役に関する定款規定を削除する定款変更の決議を行うこととなります。
監査役廃止の定款変更議案が可決された時点で定款変更の効力が発生し、監査役の任期は満了することになります。
【取締役の会社に対する責任】
・民法415条の債務不履行による損害賠償責任
・会社法423条1項 役員等の任務懈怠による損害賠償責任
利益供与の係る責任 会社法120条
剰余金分配に係る責任 会社法462条 (分配可能額を超えて剰余金の分配)
一人株主兼取締役の場合でも、善管注意義務が当然に免除されるものではないとされています。
【法人税法上の役員】
・会社法等(設立根拠法)上の役員:経営に従事しなくても税務上役員と扱われます。
・みなし役員
法人の役員以外の者で、その法人の経営に従事している者:支店長、支配人、工場長
同族会社の使用人のうち、一定の要件を満たしている特定株主等で、その会社の経営に従事している者
→経営に従事している者:個別的に判断され、一般的には当該法人の主要な業務執行の意思決定に参加し、経営上の重要な事項について決定すること等
使用人給与は、例外を除き、一般管理費として損金に算入されます。
そして、役員給与を損金に算入するには、定期同額給与・事前確定届出給与であることが必要となります。
非取締役会設置会社で、社長(取締役)が1名の場合に、その社長が急死した場合は。
①株主全員の同意が得られる場合
原則は取締役が株主総会を招集しますが、その取締役が死亡してしまった場合は、株主全員の同意があるときは、株主総会の招集の手続きを省略して、新たな取締役を選任することができます。
※※取締役兼株主である者が死亡した場合は、その相続人の全員から同意を得ることになります。
また、新しく選任する取締役についても株主全員の同意が得られる場合には、株主総会の決議の省略をすることができます。
②株主全員の同意が得られない場合
少数株主による株主総会招集の請求の制度の利用
一時取締役の選任の申立て
→裁判所の関与のなか、新たな取締役を選任することになります。
上記はかなり説明を省略して記載させていただいています。
株主総会招集決議
株主総会で解散決議、清算人選任
解散・清算人登記申請:解散後2週間以内に登記申請を行う。
解散後遅滞なく、解散の公告(官報)、知れている債権者に個別の催告
清算人による会社財産の調査、財産目録及び貸借対照表の作成
※会社が債務超過の疑いがある場合は、清算人が特別清算の申立てを行う
株主総会承認決議
解散公告、個別の催告の期間経過:2か月以上
債務の弁済を行い、残余財産を株主に分配
決算報告の作成
株主総会の承認
清算結了の登記申請:決算報告承認の日から2週間以内に