法律により相続人の相続分は決まっていますが、遺言書を作成しておくことにより、
相続割合を指定したり、特定の財産を相続させることができたり、法定相続より優先させ、
遺言者の意思を尊重します。
遺言書を作成しておいたほうがいい場合
・子供がいていない夫婦
・相続人の中に音信不通の人がいる
・内縁関係の人がいる
・前妻前夫の間に子供がいて、現妻現夫の子供と交流がない
遺言書作成を検討してもいい場合
・特定の人に財産を引き継がせたい
・相続人の数が多い
・円滑な事業承継を考えている
遺言書の方式には、主な方法として自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類があります。
ご自身で自筆で作成するのが自筆証書遺言、公証役場で公証人に作成してもらうのが公正証書遺言です。
自筆証書遺言は、費用もかからずお手軽に作成できますが、決まった形式で作成できていないと無効になってしまったり、作成時の状況が他の相続人から見たときに疑念をもたれる可能性が考えられます。
私が自筆証書遺言による登記手続きをお手伝いさせていただいた案件では、自筆証書遺言があった(発見された)場合は、まず家庭裁判所に検認の手続きを行う必要があるので、この手続きがそれなりの手間になり、時間や労力がかかることが多々あります。
公正証書遺言であれば、スムーズに手続きを行うことができます。
(メリット)
①公証人が関与することにより、遺言の効力が問題になるおそれが少ない。
②原本が公証人役場に保管されるので、紛失や変造のおそれがない。
③検認手続が不要(自筆証書遺言の場合はこの手続きが必要)。
④自筆できなくても、公証人に口授し署名押印さえできれば大丈夫。
(署名もできない場合でも、手続きあり)
⑤公証人役場に作成して遺言書の検索システムがあるので、複数作成や取り消しがある場合
の調査がしやすい。
(デメリット)
①費用がかかる(公証人の手数料、証人への支払い、専門家への報酬)。
②証人が2名必要(専門家や公証役場で手配可能)。
③自筆証書にくらべると公証人役場へ行かなければならないなど多少の手間がかかる。
状況が差し迫ってからであったり、判断能力が衰えてきたときに、
いざ作成しようとすると、スムーズにいかない場合や時間費用が
もっとかかってしまうことも考えられますので、一度遺言書作成を通じて
どのような相続にしていくか考えてみてはいかがでしょうか。