「登記済証」は一般に「権利証」や「権利書」などと言われます。
また、平成16年の法律の改正により,権利証に代わるものとして、
登記識別情報の制度が設けられました。
登記識別情報(権利証)は、登記が完了した際に登記所から買主等
の新しく所有権を取得した登記名義人に提供されます。
例えば、次にこの所有者が売主となる場合に、登記所が登記名義人
本人からの申請であることを確認する資料として提供する必要があります。
登記識別情報(権利証)を紛失してしまっても、直ちに権利を失うものでは
ありません。登記簿謄本を見れば権利関係が記載されており、第三者への
権利(所有権)の主張等、登記記録上の権利には影響はありません。
登記識別情報(権利証)の再発行はされません。
これは、紛失の原因が盗難など過失がない場合等でも同様です。
ただし、権利証がないと登記手続きができないという訳ではなく、
登記済証(権利証)を提供することができない正当な理由
があるときは,登記識別情報(権利証)に代わる
・「事前通知制度」又は
・「司法書士等の資格者代理人による本人確認情報の提供制度」
の手続きを利用して登記の申請をする事になります。
「登記官による事前通知制度」:登記識別情報(権利証)を提供せずに登記の申請がなされた場合に、
登記官から登記義務者(例:売主等登記簿上の所有者)の住所地にあてて、郵送(本人限定受取郵便)
で「登記申請があった旨」「その申請内容が真実であるときはその旨の申出ですべき」通知を行います。
通知を受け取った登記義務者が、これに記名し実印で押印して、通知された登記の申請
が真実であることを申出たときに、登記所が申請人が本人からの申請であることを確認し登記が実行されます。
(不動産登記法第23条第1項)
※不動産の売買の場合などでは、実際にはこの手続きは使われることは少ないです。
申出の期間が2週間であり、もし登記義務者(売主)がこの申出をしなかった場合は、
登記申請は却下されることになり、買主側としてはお金は売主に支払ったが登記はなされないことになり
買主としては権利が保全されなりリスクが高いからです。
「司法書士等の資格者代理人による本人確認情報の提供制度」:申請代理人である司法書
士が登記義務者本人と面談し、本人の身分証明書の提示を受けて本人であることを確認して、その
面談日時・場所、所定の確認方法による本人確認をした旨等、司法書士がその責任にお
いて本人確認をしたことを明らかにした上で、その内容を本人確認情報として登記申請時に提供するものです。
その本人確認情報が適正で登記官が相当と認めれば、前記の「登記官による事前通知制度」を省略して登記が実行されます。
(不動産登記法第23条第4項)
※実務では、この方法が使われることが多いです。
この方法の場合は、司法書士等がその責任において、登記識別情報(権利証)にかわる
「本人確認情報」を作成しますので、登記手続き費用とは別に作成報酬がかかります。
※ちなみに、費用がかかることをお伝えして、念の為、もう一度
、登記識別情報(権利証)を探していただくと見つかることもあります。
権利証は大切な書類とお考えの方が多いので、廃棄までされている方は少ないかもしれません。
確認の趣旨:所有者であれば登記識別情報(権利証)は通常は持っているはずなので、
登記所に相当と認めてもらえるように、
・どうして登記識別情報(権利証)を持っていないのか
・本当に登記名義人(所有者)なのか
・今回の登記申請する意思があるのか
を司法書士自身が確認させていただきます。
そのために、色々な資料の提供をお願いすることもあります。
「公証人による、登記義務者である旨を確認するために必要な認証の提供制度」
「本人確認情報制度」に似た手続きを公証人が行います。
(不動産登記法第23条第4項)
その他注意点:登記識別情報(権利証)はなくても代わる手続きはありますが、
その前提として、本人確認時に本人の意思能力が必要となります。
病気などで判断能力が低下している場合や、意思表示できない場合などは、
別に成年後見制度の利用等が必要となり、すぐに登記申請手続きを進めれない場合があります。
登記識別情報(権利証)は大切な書類ですが、それだけで登記手続きが勝手にできるわけではなく、
その他に登記申請には、登記義務者の実印や印鑑証明書が必要となります。
したがって、しっかりと実印や印鑑証明書カードの管理をしっかり行ってください。
当然ですが、登記名義人ではない人が,登記識別情報(権利証)、実印、印鑑証明書を使い
登記申請を行うと、登記名義人でない人が他人に
なりすまして不正な登記をしたことになり,その登記は無効となり犯罪となります。
奈良県で司法書士に相談なら、中嶋司法書士事務所へ
登記識別情報(権利証)を紛失した場合に、他人に悪用される可能性がゼロではない為、
このような場合に,「不正登記防止申出の制度」があります。
(注)登記識別情報(権利証)は大切な書類ですが、それだけで登記手続きが勝手にできるわけではなく、
その他に登記申請には、登記義務者の実印や印鑑証明書が必要となります。
したがって、しっかりと実印や印鑑証明書カードの管理をしっかり行ってください。
この制度は、紛失した権利証を不正な登記(犯罪)に利用される差し迫った危険がある
場合に、登記名義人などが登記所にその旨の申出をして、不正な登記がされるのを防止する制度です。
申出から3ヶ月以内に登記が申請された場合、申出人本人に登記申請がされた旨の通知が届きます。
この通知により不正な登記がされるのを防止します。
3か月ごとに不正登記防止申出の手続をすることになります。
この制度を利用するには、具体的な不安がある必要があり、
警察に相談していることや、告発の手続きをしていることが必要です。
(平成17年2月25日法務省民二第457号の第1の2)
・市町村長に印鑑証明書の不正発行に関する相談をしている
・警察に防犯上の相談をしている
・告発の手続を取っている
この申出をしたからといって、登記申請がなされるとすぐに止めてもらえるわ
けではありません。
この不正登記防止申出の手続は,申出人本人が登記所に出頭する必要があります。。
まずは、不動産の管轄の登記所にご相談下さい。
本人が出頭できないやむを得ない事情があると認められる場合には,委
任による代理人に登記所に出頭してもらうことも可能です。
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